カリフォルニア州の山火事で被害にあった納税者への救済措置
連邦緊急事態管理庁(Federal Emergency Management Agency:FEMA)が発令したカリフォルニア州ロサンゼルス・カウンティーに対する災害緊急事態に伴い、内国歳入庁(IRS)並びにカリフォルニア州税務当局は2025年1月7日に始まった山火事と強風によって被害を受けた南カリフォルニアの個人納税者および事業納税者に対する救済措置を発表しました。
主な内容は下記の通りです。
- IRSからの救済措置
- カリフォルニア州からの救済措置
IRSからの救済措置
申告期日と納税期日の延長
被害を受けた納税者の2025年1月7日から2025年10月15日までに迎える申告期日、並びに納税期日が2025年10月15日まで延長されました。
該当となる主な申告と納税は次の通りになります。
- 2025年4月15日が期日である個人確定申告書の申告、並びに納税
- 適格納税者のIRAおよび医療貯蓄口座への2024年分の拠出
- 通常2025年1月15日、4月15日、6月16日、および9月15日が期日の四半期毎の予定納税
- 通常2025年1月31日、4月30日、7月31日が期日の給与税(Payroll Tax)および物品税(Excise Tax)の申告
- 通常2025年3月17日が期日の暦年のパートナーシップとSコーポレーションの申告
- 通常2025年4月15日が期日の暦年の法人申告書および受託者申告書の申告、並びに納税
- 通常2025年5月15日が期日の暦年の非営利団体の申告
IRSは、IRSに登録されている住所が被災地である納税者に対して、自動的に申告期日の延長と申告遅延と納税遅延に対する罰金の免除を行いますので、この救済措置を受けるためにIRSに連絡をとる必要はありません。
IRSに登録されている住所とは、住所変更を行っていない限り、直近の申告書で使用した住所になります。
IRSに登録されている住所が被災地でない納税者は、IRSの災害ホットライン(IRS Disaster Hotline,866-562-5227)に救済措置を受けたい旨の連絡を入れる事をお勧めします。
後々、IRSから当該申告書の申告遅延または納税遅延のペナルティ通知を受け取る可能性がありますが、通知に記載されている電話番号に連絡をして、罰金の免除依頼を行う流れになります。
本来2025年4月15日に初めての連邦確定申告書を提出する予定で被害にあわれた納税者等、所得税法上の非居住者も救済措置の対象になりますので、IRSの災害ホットラインへの確認をお勧めします。
また、救済措置を受けられる納税者は、被災地に住居を構えていた個人納税者や主たる事務所を被災地に構えていた事業納税者のみならず、政府機関や慈善団体が行う被災地での救助活動に参加していた者、被災地への訪問中に亡くなられた方や怪我をされた方、今回の救済措置で申告期限の延長が対象となった申告書の作成に必要な情報やデータが被害を受けた為に当該申告書の作成が困難となった者も含まれます。
救済措置を受けたい納税者は、IRSの災害ホットラインへ連絡する事をお勧めします。
被災地の認定は、Federal Emergency Management Agency (FEMA)にて行われます。
当記事の掲載時点ではロサンゼルス・カウンティーが被災地として認定されています。
ご自身が被害を受けた地域にもFEMAの認定が拡大しないか、FEMAのウェブサイトを確認される事をお勧め致します。
救助金の非課税
通常、適格災害救助金は総収入から除外されます。
被害を受けた納税者が政府機関から受け取った生活費、葬式費用、自宅の修繕費用、等の救助金は総収入に含めませんので、課税所得として報告する必要はありません。
リタイアメント・プランやIRAからの罰金の免除
通常、59.5歳未満の納税者がリタイアメント・プランやIRAから資金を引き出した場合、10%の罰金の対象になります。
被害を受けた納税者は、この10%の罰金が免除になる場合があります。
プラン内容や口座の種類によって規定が異なりますので、プランや口座を管理している金融機関に確認を取る必要があります。
無保険または無補償の災害関連損失の請求:
連邦政府が宣言した被災地域で、無保険または無補償の災害関連損失を被った個人納税者および事業納税者は、2024年もしくは2025年の連邦確定申告書のいずれかで損失を申告することが選択できます。
納税者には、被災年の連邦所得税申告期限から最大6か月以内(提出期限の延長に関係なく)、選択を行うための追加の時間が与えられますので、個人の納税者にとっては2026年10月15日を意味します。
損失を申告するにはFEMA申告番号–4856-DR–の記載が必要です。
FEMA申告番号は、FEMAのウェブサイトから申請を行います。
カリフォルニア州からの救済措置
カリフォルニア州税務当局(Franchise Tax Board:FTB)からの救済措置
カリフォルニア州も2025年1月7日から2025年10月15日に申告期日、並びに納税期日を迎える税務関連手続きを2025年10月15日まで延長する救済措置を設けました。
- 2025年4月15日が期日である個人確定申告書の申告、並びに納税
- 通常2025年1月15日、4月15日、6月16日、および9月15日が期日の四半期毎の予定納税
- 通常2025年3月15日が期日の暦年のパートナーシップ、有限責任事業組合(LLP:Limited Liability Partnership)とSコーポレーションの申告、並びに納税
- 通常2025年4月15日が期日の暦年の法人申告書および受託者申告書の申告、並びに納税
- 通常2025年5月15日が期日の暦年の非営利団体の申告
- 通常2025年4月15日が期日の暦年2025年分の有限責任事業組合の年間税(LLC Annual Tax)の納税、並びに通常2025年6月15日が期日の予定有限責任事業組合費(LLC Estimated Fee)の支払
カリフォルニア州売上税と使用税(Sales and Use Tax)に対する救済措置
本来2025年1月31日が期日のカリフォルニア州売上税と使用税の申告、並びに納税期日が2025年4月30日までの3か月の延長措置が設けられました。
対象は、直近の税額が$1M以下のロサンゼルス・カウンティーとベンチュラ地域の納税者ですが、カリフォルニア税務当局(California Department of Taxes and Fees:CDTFA)は、$1Mの税額を超過する納税者、またはロサンゼルス・カウンティーやベンチュラ地域以外の納税者からの依頼も、必要に応じて救済措置の検討を視野に入れている旨を発表しています。
延長措置を受けたい納税者は、カリフォルニア州税務当局に相談される事をお勧め致します。
延長措置への申請手続方法や連絡先はCDTFAのウェブサイトにて確認ができます。
当記事の掲載時点では、2025年1月31日以降の売上税と使用税に対する自動延長措置は発表されていません。
救済措置の更なる延長や救済範囲の拡大等、引き続きCDTFAの発表に注視する事をお勧め致します。
IRSまたは州政府からの当記事の掲載時点での最新のアナウンスはこちらよりご確認いただけます。
記事は2025年1月27日時点での内容になります。
山火事は鎮火に向かっていますが、雨模様が続き、次は土砂崩れの被害が出てきています。
各税務当局は追加の救済措置を発表する可能性もありますので、今後も各税務当局からのアナウンスに目を向けておく必要があります。