Individual Tax

Airbnb投資における税務戦略

近年、Airbnbなどの短期賃貸プラットフォームを活用した投資は、収益性の高いビジネスモデルとして多くの注目を集めています。

しかし、こうした投資には税務面での注意点が数多く存在し、適切な理解と対策が必要です。

特に、収入の性質や経費の取扱い、減価償却の計算方法、さらには申告時の選択肢(Schedule CまたはSchedule E)など、税務戦略を正しく設計することが成功の鍵となります。

本コラムでは、Airbnb投資に関わる税務の基本知識から具体的な申告方法までを解説し、米国におけるAirbnbオーナーの皆様が適切に税務リスクを管理し、最大限の利益を享受できるようサポートすることを目指します。

特に、初めて短期賃貸ビジネスに挑戦される方や、既存の運営を見直したいと考えている方にとって、有益な情報をご提供できる内容となっています。

Airbnb投資が持つポテンシャルを最大限に引き出し、税務面でのリスクを最小限に抑えるための第一歩として、ぜひ本コラムをご活用ください。

目次

  • Airbnb収入は課税対象となるのか
  • 経費として計上可能な費用の範囲
  • 経費の按分方法
  • 資産計上が必要な経費
  • 減価償却方法
  • 申告方法ーSchedule C or Schedule E
  • 保管すべき書類、記録

1.Airbnb収入は課税対象となるのか

Airbnbを通じて得た収入は、原則としてRental Income(賃貸収入)として課税所得に含まれます。

米国内でAirbnbを実施した場合、その収入は個人所得税の申告対象となり、適切に報告する必要があります。

Airbnbはプラットフォームとして、一定条件を満たすホストに対しForm 1099-Kを発行するため、収入を申告しない場合でもIRS(内国歳入庁)に収入情報が共有されている点に留意が必要です。

つまり、収入を正確に報告しない場合、IRSから指摘を受けるリスクが高くなります。

また、Airbnb収入には宿泊代金だけでなく、ゲストに請求したCleaning fee(清掃料金)やCancellation fee(キャンセル料)なども含まれます。

これらのすべての収入が課税対象として扱われるため、記録を正確に残し、適切に計上することが重要です。

ただし、例外として、年間14日以内の貸し出しに限られ、かつその物件を主たる居住用として使用している場合、これらの収入は免税となり、税務申告の必要がありません。

この規定(通称「14-day rule」)を利用すれば、短期間の貸し出しにおいて課税を回避することが可能です。

ただし、この免税規定を適用する際には、使用日数や収入条件を正確に把握しておく必要があります。

Airbnbを利用した収入は多岐にわたり、またIRSとの透明性が求められるため、収入を正しく報告し、適切に税務処理を行うことが、トラブルを防ぐ最善の方法です。

2.経費として計上可能な費用の範囲

Airbnbを通じて得た収入は、その総額が課税対象となるわけではありません。

実際には、収入から適切な必要経費を差し引いた利益に対して課税されます。

そのため、経費を正しく理解し、適切に計上することは、税務戦略において非常に重要です。

経費を適切に控除することで、課税所得を減らし、税負担を軽減することが可能になります。

一般的に、経費として認められる条件は以下の3つです。

経費として認められる条件

  1. 通常かつ必要な支出(ordinary and necessary expenses)であること
  2. 実際に支払われた費用であること(現金主義の場合)
  3. 資本的支出(capital expenditure)として扱われないこと

以下は、Airbnbホストが経費として計上可能な主な費用の例です。

経費として計上可能な主な費用例

  • 広告費:Airbnbリスティングの宣伝やマーケティング費用
  • 清掃・メンテナンス費:清掃サービス、清掃用品、洗濯サービスなど
  • 公共料金:ガス、電気、インターネット、テレビ、ゴミ回収など
  • 保険料:物件に関連する保険(建物や家財保険、プライベートモーゲージ保険(PMI)など)、ただしPMIを前払いした場合は年度ごとに按分して計上
  • 固定資産税:賃貸物件にかかる固定資産税
  • ローン利息:物件購入や改善のためのローンやモーゲージにかかる利息
  • 家賃徴収手数料:Airbnbなどのプラットフォームが課すサービス料
  • 交通費:物件管理やメンテナンスのための通常かつ必要な移動費用
  • 修理費:壊れた窓やドア、家具、機器などの修理費(ただし資本的改善は除く)
  • 減価償却費:物件購入や改善にかかる金額を減価償却として計上
  • 物件管理費:管理会社費用、法務費用、会計費用、HOA(Homeowners’ Association)費用
  • ゲストへの払い戻し:予約キャンセルや変更による払い戻し、AirbnbのResolution Centerを通じた支払い
  • 教育費:Airbnb Openなどのプロパティ管理に関連する会議や教育プログラムの参加費用

これらの経費を適切に計上するためには、領収書や契約書、その他の支出記録を正確に保管しておくことが不可欠です。

特に、収入や経費が多岐にわたるAirbnb投資においては、詳細な記録を保つことで税務申告をスムーズに行うことができます。

Airbnb投資を成功させるためには、必要経費を正確に把握し、税務リスクを最小化することが重要です。

次節では、これらの経費を按分する方法について詳しく解説します。

3.経費の按分方法

Airbnbを通じて賃貸運営を行う場合でも、物件の一部を貸し出すケースや、一定期間のみ賃貸として利用するケースでは、経費の按分が必要になります。

賃貸物件として使用されている期間や部分に応じて、経費を適切に計算することが求められます。

以下のような状況では、経費の按分が必要です。

経費の按分が必要となる場合

  1. 自宅の一部を貸し出す場合
    例:自宅の1部屋をAirbnbで提供し、残りは私的利用として使用している場合。
  2. 一定期間のみ貸し出す場合
    例:自宅を夏休み中の1ヶ月間だけAirbnbで貸し出し、それ以外の期間は私的に使用している場合。
  3. 上記2つの組み合わせの場合
    例:自宅の1部屋を1年間のうち3ヶ月間だけAirbnbで貸し出す場合。

このような場合、経費を賃貸目的に該当する割合(按分率)で計算する必要があります。

経費を按分するための基本的なステップは以下の通りです。

経費の按分方法

  1. 物理的スペースによる按分
    賃貸に供している物件の面積に基づき、全体の何%が賃貸利用されているかを計算します。
    計算例:自宅の2,000sqfのうち500sqfをAirbnbで貸し出している場合、按分率は25%(500sqf ÷ 2,000sqf)となります。
  2. 利用期間による按分
    賃貸として使用された期間を計算し、年間の日数で割ります。
    計算例:1年間(365日)のうち90日間のみ貸し出した場合、按分率は約24.7%(90日 ÷ 365日)となります。
  3. 物理的スペースと利用期間の両方を考慮した按分
    上記の2つを掛け合わせ、最終的な按分率を計算します。
    計算例:自宅の2,000sqfのうち500sqfを90日間貸し出した場合、最終的な按分率は6.2%(25% × 24.7%)となります。

注意点

  • 賃貸利用期間のみの経費:貸し出し期間中に発生した経費(例:清掃費用)は按分不要で、全額が経費として計上可能です。
  • 共通経費の按分:住宅全体にかかる経費(例:光熱費、固定資産税)は、上記の按分率を適用して計算します。

適切な按分を行うことにより、課税所得を正確に計算し、税務リスクを回避することが可能です。

4.資産計上が必要な経費

Airbnb運営において発生する経費の中には、即時的に経費として控除できるものもあれば、資産計上が必要なものもあります。

資産計上とは、支出を費用ではなく資産の一部として扱い、その後の減価償却によって徐々に費用化することを指します。

特に、物件の改良(improvement)に該当する支出は、資産計上が必要です。

資産計上が必要な支出は以下の通りです。

資産計上が必要な経費の基準

  1. 改良(Betterment)
    物件の欠陥を修繕したり、物件を拡張・拡大したりすることで、物件の価値や能力、品質を向上させる支出。
    例:床材の交換、古い配管を新しいものに全面的に交換、建物を拡張する工事。
  2. 修復(Restoration)
    物件の構造の大部分を取り替えたり、災害損失の修理を行ったり、物件を新品同様の状態に修復する支出。
    例:建物の屋根全体を新しく交換、火災や洪水被害後の再建工事。
  3. 新用途への適応(Adaptation)
    物件を新たな用途や異なる用途に適応させるための支出。
    例:住宅用の物件をAirbnb用に改装、倉庫を居住可能なスペースに転用する工事。

以下は、資産計上が必要となる可能性のある具体的な経費の例です。

資産計上が必要な経費の具体例

  • 物件の床材を全面的に交換(例:カーペットからフローリングへの変更)
  • 砂利の車道をコンクリート車道に改良
  • キッチンやバスルームの全面リノベーション
  • 物件の断熱材を新たに追加
  • 建物全体の配管や電気配線の交換
  • エアコンシステムの新規設置または大規模なアップグレード
  • 物件の外装(外壁や屋根)の全面改装または塗り替え

一方、以下のような支出は、資産計上ではなく即時的に経費として控除可能です。

資産計上が不要な修理費の例

  • 床の強化(例:たわんだ床を補強)
  • 駐車場の再舗装
  • 壊れた窓やドアの修理
  • 一部の家具や設備の小規模な修繕

注意点

物件に関連する支出が即時控除可能か資産計上すべきかを判断する際には、支出の性質が重要です(支出額の大小ではありません)。

5.減価償却方法

Airbnb運営において物件や設備などの資産を購入した場合、その費用を即時に全額経費として計上するのではなく、減価償却を通じて複数年にわたり費用化する必要があります。

減価償却には、特別措置として利用できるSection 179Special Depreciation Allowance、そして標準的なMACRS(Modified Accelerated Cost Recovery System)が存在します。

減価償却の適用は次の順序で検討します。

償却の適用順序

  1. Section 179(即時償却選択)
  2. Special Depreciation Allowance(特別減価償却)
  3. MACRS(加速償却制度)

それぞれの方法には条件や対象となる資産の違いがあるため、適切に選択することが重要です。

(1) Section 179(即時償却選択)

Section 179では、特定の資産に対して購入した年に全額を即時に経費として計上することが可能です。

ただし、適用するためには、Airbnb運営が「事業(trade or business)」として認められる必要があります。

単なる不動産投資(rental activity)として分類される場合は、この規定を利用できない点に注意が必要です。

対象資産

  • Airbnb運営のために購入した家具(ベッド、ソファ、テーブルなど)
  • 家電製品(冷蔵庫、洗濯機、電子レンジなど)
  • 設備や一部の改良(例:エアコン、セキュリティシステム、照明器具など)

対象外の資産

  • 賃貸物件そのもの(建物全体)
  • 建物の構造部分(例:屋根、外壁)

控除上限

  • 2024年時点での控除額の上限は$1,160,000

条件

  • 資産が事業用途で使用されていること

Section 179を利用することで、初年度の税負担を大きく軽減できますが、「事業」として認められるかの判断が重要です。

(2)Special Depreciation Allowance(特別減価償却)

Special Depreciation Allowanceは、新たに購入した対象資産について、初年度に一定の割合を控除することが可能な特別措置です。

この規定は、Section 179を適用できない資産や、控除額が上限を超えた部分に適用されます。

対象資産

  • 新規または中古の有形資産(家具、家電、設備など)
  • 耐用年数が20年以内の資産

適用できない資産

  • 耐用年数が20年を超える資産(例:住宅用賃貸物件や商業用物件)
  • 事業用途で使用されていない資産

条件

  • 資産が事業用途で使用されていること
  • 2024年時点では控除率が80%(2023年の100%から段階的に減少中)

Special Depreciation Allowanceを適用した場合、未償却分(残りの20%など)はMACRSを用いて減価償却を行います。

(3)MACRS(加速償却制度)

MACRS(Modified Accelerated Cost Recovery System)は、米国の標準的な減価償却方法であり、耐用年数に基づいて資産の費用化を行います。

対象資産

  • 賃貸物件(住宅用および商業用)や設備
  • Special Depreciation Allowanceが適用されない、または適用後の未償却分

耐用年数

  • 住宅用賃貸物件:27.5年
  • 商業用賃貸物件:39年
  • 家具や設備:通常5~7年

償却方式

  • 物件そのもの(建物)には「ストレートライン方式(定額法)」を適用
  • 設備や車両には「200%定率法」または「150%定率法」を適用可能

MACRSは、住宅や建物そのもの、またはSpecial Depreciation Allowanceの対象外となる資産に適用されます。

以下は、対象資産に減価償却を適用する具体例です。

適用方法の具体例

対象資産:10,000ドルで購入した家具(耐用年数5年、事業用途で使用)

Step 1:Section 179
5,000ドルを即時控除(残りの5,000ドルは控除上限を超過したと仮定)

Step 2:Special Depreciation Allowance
残りの5,000ドルのうち80%(4,000ドル)を初年度に控除

Step 3:MACRS
未償却分の20%(1,000ドル)を耐用年数に基づきMACRSで償却

このように、Section 179、Special Depreciation Allowance、MACRSを組み合わせて、資産の減価償却を効率的に行います。

注意点

  • Airbnb運営が「事業」と認められる場合のみ、Section 179およびSpecial Depreciation Allowanceが適用可能
  • 自宅の一部をAirbnbで貸し出している場合、按分計算が必要
  • 減価償却に関する記録(購入記録、使用状況、耐用年数など)を正確に保管することが重要

適切な減価償却方法を選択し、Airbnb投資の税負担を最小限に抑えましょう。

6.申告方法ーSchedule C or Schedule E

Airbnbの収入と経費は、Airbnbの運営を「事業」として扱うか「受動的な投資活動」として扱うかにより、Schedule CまたはSchedule Eのいずれかを使用して報告する必要があります。

多くの場合、Airbnb運営は受動的な投資活動として分類されるため、Schedule Eでの報告が必要です。

しかし、特定の要件を満たす場合には、Schedule Cを使用することになります。

本節では、それぞれの申告方法の違いや適用条件について説明します。

(1)Airbnb収入を報告する際の選択基準

Schedule E(受動的投資活動の場合)

多くのAirbnbホストは、物件を単に貸し出すだけで、追加のサービスを提供していない場合がほとんどです。

このような場合、Airbnb収入は受動的な投資所得として扱われ、Schedule Eで報告します。

対象となるケース

  • 物件を長期的に貸し出している
  • 清掃やメンテナンス以外の追加サービスを提供していない
  • Airbnb運営を主たる事業活動として行っていない

税務上の特徴

  • 自営業税(Self-Employment Tax)は課されない。社会保障税からは逃れることができる。
  • 受動的活動損失制限(Passive Activity Loss Rules)が適用される。受動的活動における利益とのみ相殺可能であり、給与所得や譲渡所得等との相殺は不可。

Schedule C(事業活動の場合)

Airbnb運営が事業(trade or business)として分類される場合、収入と経費をSchedule Cで報告します。

この場合、事業所得として扱われ、自営業税(Self-Employment Tax)が課されます。

対象となるケース

  • ゲストに対して定期的に追加のサービスを提供している(例:清掃サービス、朝食、送迎など)
  • Airbnb運営が継続的かつ利益を目的とした事業活動として行われている
  • ホストがAirbnb運営に実質的に関与している(Material Participation)

税務上の特徴

  • 自営業税(15.3%)が課される
  • 事業損失が一部の場合に他の給与所得や譲渡所得等と相殺可能

(2)Schedule CとSchedule Eの違い

以下は、Schedule CとSchedule Eの違いをまとめた表です。

項目 Schedule E Schedule C
適用条件 受動的投資活動 事業活動
サービスの提供
(納税者本人)
基本的に提供しない 定期的・実質的なサービスを提供
税務上の扱い 投資所得 事業所得
課される税金 ネット投資所得税
(Net Investment Income Tax)
自営業税
(Self-Employment Tax)
損失の取り扱い 受動的損失制限
(Passive Activity Loss Rules)
事業損失として他の所得と相殺可能
使用するフォーム Form 1040のSchedule E Form 1040のSchedule C

(3)Airbnb運営における申告の実例

例1:受動的投資活動(Schedule E)

Airbnbホストが、自宅の一部を短期間だけ貸し出している。

ゲストに対する清掃やメンテナンス以外の特別なサービスを提供していない。

→Schedule Eで収入と経費を報告し、受動的損失制限が適用される。

例2:事業活動(Schedule C)

Airbnbホストが、ゲストに朝食、送迎、ツアー案内などのサービスを継続的に提供している。

Airbnb運営が主要な収益源となっている。

→Schedule Cで収入と経費を報告し、自営業税が課される。

注意点

Schedule Eの場合の追加書類

  • 賃貸活動で損失が発生した場合、Form 6198(At-Risk Limitations)やForm 8582(Passive Activity Loss Limitations)が必要となる場合があります。
  • 減価償却費を申告する際には、Form 4562を添付する必要がある場合があります。

事業活動として分類される基準

  • Airbnb運営がSchedule Cで報告すべき事業活動に該当するかを判断する際には、サービスの頻度、規模、収益の継続性などが重要なポイントとなります。

専門家への相談

  • Airbnb運営の分類が不明確な場合、またはSchedule CとSchedule Eのどちらを使用するべきか迷った場合は、税務の専門家に相談することをお勧めします。

Airbnb運営の収入を正確に申告することで、税務リスクを最小限に抑え、法的な義務を果たすことができます。

それぞれの状況に応じた適切な申告方法を選択しましょう。

7.保管すべき書類、記録

Airbnb運営において、収入や経費に関する全ての証拠書類を適切に保管することは、税務コンプライアンスを維持するために非常に重要です。

たとえ14日ルール(年間14日以内の貸し出しの場合、収入が免税となる規定)に該当し、税務申告が不要であっても、すべての関連書類を保管しておく必要があります。

IRS(内国歳入庁)から書類の提出を求められる可能性があるため、申告書提出時に書類を添付する必要はありませんが、以下の書類を整理して保管することをお勧めします。

保管すべき書類の具体例

経費関連の書類

  • 経費として控除可能な支出に関する領収書(例:清掃用品、清掃サービス費用)
  • 賃貸物件に関連する不動産税の支払い記録
  • モーゲージ支払いに関する記録(例:Form 1098)

賃貸活動の記録

  • 物件が貸し出された日数、個人使用された日数、空室期間を記録したログ
  • 賃貸物件の広告に関する証拠(例:新聞、雑誌、ウェブサイトでの広告掲載記録)

修理・改良に関する書類

  • 修理や改良の性質を区別するリスト
  • 各修理および改良に関する領収書(支払日および金額を含む)

旅費関連の記録

  • 賃貸目的および非賃貸目的の旅行費用を按分した記録

減価償却関連の書類

  • 減価償却可能な資産の詳細(購入金額、購入日、資産寿命、減価償却方法、既に控除済みの減価償却額を含む)
  • Form 4562(減価償却を申告する際に必要なフォーム)

税務関連の書類

  • Passive Activity Loss(受動的活動損失)の繰越記録
  • $25,000を超える賃貸損失の繰越記録(積極的参加がある場合)
  • 独立契約者に支払った金額を記載したForm 1099-MISC

その他の関連書類

  • セキュリティデポジットの記録
  • 保険料の支払い証明書(賃貸物件に関連するもの)
  • 税務申告書の作成にかかった費用の領収書

書類の保管期間は、関連する申告書の法定保存期間(Period of Limitations)に基づきます。

通常、この期間内であればIRSが追加税額を査定したり、納税者が修正申告を行ったりすることができます。

保管期間

  • 一般的な保存期間:3年間

例外的な保存期間

  • 申告所得が実際よりも25%以上少なく報告された場合:6年間
  • 詐欺的な申告または未申告の場合:無制限
  • 資産の減価償却や売却に関する書類:物件を売却した年の保存期間が終了するまで保管

保管の重要性

適切な記録がない場合、IRSは経費控除を否認したり、資産売却時の基礎価格を証明できないとみなす可能性があります。

これにより、不要な税負担が発生するリスクがあります。

また、保険会社や融資機関がIRSの保管期間を超えて書類の保存を要求する場合もあるため、他の目的に応じた保存期間も考慮することが重要です。

管理のポイント

  • デジタル保存:書類はデジタル化して保管することで、物理的な保存スペースを削減し、必要な際に迅速にアクセス可能となります。
  • ラベル付けと分類:各書類を「収入」「経費」「減価償却」「税務関連」などのカテゴリーに分けて保存すると、効率的に管理できます。

適切な記録の管理は、Airbnb運営における税務リスクを軽減し、将来の監査対応をスムーズに進めるために不可欠です。

まとめ

Airbnb運営における税務戦略は、収入の正確な申告と、経費の適切な計上・分類に基づいています。

本コラムでは、Airbnb収入の課税対象、経費の範囲と按分方法、減価償却の適用ルール、申告方法、さらには記録の保管について詳しく解説しました。

税務コンプライアンスを確保しながら、適切な税務戦略を実施することで、法的なリスクを回避し、利益を最大化することが可能です。

しかし、Airbnb運営における税務の取り扱いは、個々の状況によって異なる場合があります。

税務申告や経費計上に関してさらに詳しいアドバイスが必要な場合は、ぜひUnivis America LLCにご相談ください。

当社は、Airbnbを含む不動産投資における税務サポートを得意としており、皆様のビジネスが税務面で円滑に運営できるようお手伝いいたします。

Airbnb投資を最大限に活用し、成功に向けての第一歩を踏み出しましょう。

監修者

小林 賢介

早稲田大学政治経済学部を卒業後、 有限責任監査法人トーマツのグローバルサービスグループ部門に入所。 2015年8月よりDeloitte NYに駐在。 その後、ニューヨークにて UNIVIS AMERICA LLC(Univis US)を立ち上げ、同所長に就任。